プリンスが思うプリンスのドラム

プリンスは、自分のドラムのことをどう思ってたんだろう。
そんなことを、ふと思うことがあります。
上手いと思ってたんでしょうか。そうは思ってなかったんでしょうか。
この『America』のドラムソロでは、途中でギターがかぶってきたりしてます。
ひょっとしたら本当にライブで鳴ってた音かも知れませんが、
手癖と音色からプリンス本人がオーバーダブしたものに聞こえます。
要は、本人もドラムにはそういうジャッジをしてたんじゃないか、と。
ドラムだけだと、さすがに苦しいな、と。

では人に任せろという話なんですが、そうもいかない。
歌を歌う人にとってドラムは、技術より生理の問題であり、
上手かろうが何だろうが合わないものは合わない、
といった話をどこかで聞いたことがあります。
個人の生理が全開な音楽をやってたプリンスにとって、
自分のドラムは、聴いてるだけのこちらとは違った意味で、
かなり重要だったのかもと思ったりするのです。

プリンス本人よりもプリンスらしいドラムを叩けるのは、
冗談でも何でもなく、ドラムマシンのLinn Drumだったんでしょう。
いびつなタイミングと、クラップに聞こえないクラップ音。
実に変態であり、生のドラム以上に人の生理が伝わってきます。
これまた噂を聞いただけですが、このマシンを入手したとき、
プリンスは嬉しくて嬉しくて抱いて寝たんだとか。
「自分のドラムでは無理なメジャーシーンに、この音なら行ける」
と思ったんじゃないかと、勝手に妄想したりしてます。

プリンスのドラム

プリンスがドラム叩いてる所を集めた動画がありました。
体格の華奢さが音に反映されてるようで、辛いといえば辛い感もあります。
逆に、渋いといえばかなり渋い演奏という感じもしますけど。
でもこの渋さは、この人の場合、ギターにもベースにもありますね。

プリンスが抱えた歴代ドラマーから、
ベストを選ぶなんて企画をやってるとこも、あったみたいです。
プリンス本人もノミネートしてるのが面白いですが、
それならLinn Drumもノミネートしてないと駄目でしょう。